蒸すと蒸さない何が違う?地焼きのうなぎの魅力

おはなし

はじめに:うなぎを巡る「東西の壁」

「うなぎの蒲焼」と一口に言っても、日本には大きく分けて2つの文化圏が存在します。

  • 関東風:一度白焼にした後、「蒸す」工程を挟んでからタレをつけて焼く。
  • 関西風:蒸さずにそのままタレをつけてじっくり香ばしく焼く(いわゆる「地焼き」)。

私たちがお客様からいただく質問の一つがこれです。
「蒸したうなぎと、蒸さない“地焼き”って、何が違うの?」
「どちらが美味しいの?」という究極の疑問に対し、養殖・加工のプロとしての視点、そしてちょっとした歴史の裏話も交えながら、地焼き(蒸さない焼き方)の圧倒的な魅力と、東西の文化の違いを徹底解説します。

そもそも「地焼き」とは?

「地焼き(じやき)」とは、主に西日本(関西・中京・九州など)で親しまれている「蒸し」の工程を一切挟まない調理法のことです。

調理工程のステップ比較

工程関東風(蒸す)関西風・地焼き(蒸さない)
さばき方背開き(武士の切腹を嫌った)腹開き(「腹を割って話す」商人の街)
焼き①白焼(素焼き)生のまま直火でじっくり
中間工程蒸し器で15〜20分ほど蒸す(なし)
焼き②タレをつけてサッと炙るタレを何度も潜らせて焦げ目をつける

関ヶ原を境界線として食文化が分かれると言われますが、うなぎの焼き方も見事にこの境界でガラリと変わります。地焼きはまさにうなぎのポテンシャルをダイレクトに引き出す調理法なのです。

「蒸す」と「蒸さない(地焼き)」食感と味の違い

最大の疑問である「味と食感の違い」について紐解いていきましょう。

関東風(蒸す)の特徴:ふわっ、とろ〜り

一度蒸すことで余分な脂が落ち、水分を含んだ身は箸を入れるだけで「スッ…」と崩れるほど柔らかくなります。

  • メリット:あっさりとしていて上品。年配の方やお子様でも食べやすい。
  • 例えるなら:「丁寧に仕立てられた極上のシルク」

関西風・地焼き(蒸さない)の特徴:パリッ、サクッ、ジュワ〜!

蒸さずに焼き上げるため、皮目はクリスピーに香ばしく、身にはうなぎ本来の濃密な脂と旨味がそのまま閉じ込められます。

  • メリット:噛んだ瞬間の香ばしさと、閉じ込められた脂と旨味が溢れ出すジューシーさが段違い。
  • 例えるなら:「強火で一気に肉汁を閉じ込めたステーキ」

特に地焼きの「パリッと感」は、一度ハマると抜け出せない中毒性があります。関東風の「皮まで柔らかい」食感とは対極にある、香ばしい歯ごたえと中からあふれ出る脂こそが地焼き最大の真骨頂です。

なぜ関東は「蒸し」、関西は「地焼き」になったのか?(歴史雑学)

同じ日本国内で、なぜここまで調理法が分かれてしまったのでしょうか?諸説ありますが、当時の社会情勢や職人事情が大きく関わっています。

【関東】江戸の武士文化と「せっかち」な江戸っ子

  1. 「切腹」を連想させる腹開きはNG!江戸は武士の街。うなぎの腹を包丁で裂くのは「切腹」を連想させて縁起が悪いとされ、背中からさばく「背開き」が定着しました。
  2. 江戸っ子は待てない!当時のうなぎは天然モノばかりで、身が固くて脂もしつこいのが難点でした。また、気の短い江戸っ子は注文してから30分も待てません。そこで職人たちは「あらかじめ素焼きして蒸しておき、注文が入ったらタレをつけてサッと焼いて出す」というファストフードスタイルを確立したのです。

【関西】商人の街と「始末の精神」

  1. 腹を割って話そうや!商人の街・大阪では、「腹を割って話す」ことが商売の基本とされ、縁起が良いことから「腹開き」が主流になりました。
  2. 蒸し器を洗うのが面倒&炭代の節約?関西では「蒸す」という工程を入れず、炭火の火力だけで一気に焼き上げます。「わざわざ蒸し器を用意するのも手間だし、炭の熱量で美味しく焼けるならそのまま焼けばええやん!」という、合理的かつ「始末(節約)」を重んじる商人文化が地焼きを育てたとも言われています。

プロが教える!「地焼き」が美味しくなるうなぎの条件

実は、どんなうなぎでも地焼きにすれば美味しくなるわけではありません。ここが養殖業者である大和養魚のこだわりどころです。
地焼きは蒸さない分、うなぎそのものの質がダイレクトに味に出ます。

  • 皮が厚すぎるうなぎ:地焼きにするとゴムのように硬く噛み切れません。
  • 泥臭さがあるうなぎ:蒸して脂と一緒に臭みを抜くことができないため、臭みがそのまま残ってしまいます。
  • 脂がのりすぎor足りないうなぎ:火の熱に耐えられずパサつくか、脂っぽすぎて食べられなくなります。

つまり、美味しい「地焼き」を作るためには、「皮が柔らかく、泥臭さがなく、上質な脂が適度に乗った最高のうなぎ」が絶対条件なのです。

大和養魚のうなぎが「地焼き」に最適な理由

浜名湖の豊かな地下水をふんだんに使い、餌や水温管理に徹底的にこだわる大和養魚のうなぎは、「皮が薄く柔らかで、身の引き締まりと上質な脂の乗りが抜群」です。

当店のうなぎは、関東風の「蒸し」を入れてもトロトロになって美味しいですが、ぜひ「地焼き」でそのポテンシャルを体感していただきたいのです。直火で焼いた時の香ばしさと、皮目のパリッとした質感は、良質なうなぎだからこそ到達できる至高の味わいです。

東西の技が交差する街・浜松で守り抜く「背開き・地焼き」

日本のほぼ中央に位置する静岡県浜松市は東と西の食文化が交差し、市内にはふっくら仕上げる関東風と、香ばしく焼き上げる関西風の専門店が混在し、東西の味わいを一度に楽しめる全国的にも珍しい街として知られています。
そんな折衷の文化が息づく地で、大和養魚は「背開き」「地焼き」というこだわりです。さばく際は関東流の「背開き」で美しい形を整えながらも、焼きは「蒸し」の工程を一切挟まず白焼きから一気に焼き上げる「地焼き」を行うことで、皮目はパリッと香ばしく、身には上質な旨味と脂をギュッと閉じ込めます。
関東の丁寧な手仕事と、関西の力強い焼きの技術。両者の魅力を絶妙に融合させた「背開き・地焼き」は、うなぎを知り尽くした大和養魚のスタイルです。

ご家庭で「地焼き」の美味しさ楽しむコツ

大和養魚のうなぎはレンジや湯せんで美味しく召し上がっていただけますが、ひと手間かけることでより地焼きの魅力を引き出すことができ、ご家庭でも「外パリッ、中ジュワッ」の地焼き食感を楽しんでいただけます。

フライパンを使った「極上パリッと焼き」手順

  1. 蒲焼を食べやすい大きさにカットします。
  2. フライパンに魚焼き用ホイル(くっつかないタイプ)を敷き、皮目を下にしてフライパンに置きフタをします。弱火〜中火で、皮が「チリチリ」と音を立てて香ばしくなるまでじっくり温めます。
  3. あたたまったところでタレをかけて、少しフツフツと泡立ったら完成です。

お好みで「追いタレ」をし、山椒を少し振ってお召し上がりください。口に入れた瞬間の「サクッ」という音が、食卓をちょっと贅沢なうなぎ屋空間に変えてくれます。

まとめ:あなたは「ふわとろ」派?「パリジュワ」派?

「蒸す」ことで上品な柔らかさを追求した関東風。
「蒸さない」ことで香ばしさと力強い旨味を凝縮させた関西風(地焼き)。
どちらにもそれぞれの歴史と美味しさがあり、甲乙つけがたい魅力があります。しかし、もしあなたがまだ「地焼き」のうなぎを本格的に味わったことがないのなら、ぜひ一度その「香ばしい衝撃」を体験してみてください。
大和養魚では、職人が一尾一尾の個性を極限まで見極め、最高の状態でお届けしています。
本物のうなぎが持つ「素材の力」をダイレクトに感じる地焼き。今夜のごちそうに、香ばしい地焼きのうな重はいかがですか?

うなぎのご購入はこちらから

創業明治40年、浜名湖畔に広がる広大な自社養殖池で飼育したうなぎを一尾一尾丁寧職人が手開き手焼きで焼き上げます。定番の白焼・蒲焼をはじめ、まぜごはんの素・佃煮・うなとろ丼セットなど各種商品を取り揃えております。皆様のご利用を心よりお待ちしております。
🛒浜名湖うなぎの大和養魚オンラインショップ

タイトルとURLをコピーしました